JSPICC - 日本小児集中治療研究会

PALS 小児二次救命処置法 (AHA 認定) Pediatric Advanced Life Support

PALS-ITO (International Training Organization), JAPAN

「PALS-ITOの新ガイドラインをめぐる見解」

PALS Provider Course / Instructor Courseは、いずれもAHAガイドライン2005に準拠するものです。しかし、そこで救急蘇生を学んだプロバイダーが主に実際の医療に従事する場は、わが国になります。蘇生教育の成果は、医療現場に還元され、他業種とのチーム医療において良好なコミュニケーションがなされることを通じて、最終的には傷病者に福音がもたらされるべきものです。
国際蘇生連絡協議会(ILCOR)は、コンセンサス2005に基づいて、世界の各地域の事情に即した独自のガイドライン策定を求めています。わが国としてもこれに応えるため、2005年9月には日本救急医療財団心肺蘇生法委員会が、その内部組織としての日本版救急蘇生ガイドライン策定小委員会を設置し、2006年8月までに「わが国の新しい救急蘇生ガイドライン(骨子)」を確定するに至りました。

http://www.qqzaidan.jp/qqsosei/index.htm

ご覧いただければ明らかですが、AHAガイドラインとの間には、基本的な考え(コンセンサス)に相違はないものの、特にBLSに関しましては、具体的手順など(ガイドライン)には些細ではありますが、差異があります。この差異が、蘇生の現場で混乱を生じる可能性は否定できません。
PALS-ITOの原則姿勢としては、PALS Provider Course / Instructor Courseをつうじ、AHAガイドラインをお伝えするものであります。しかし、これによってわが国の救急医療現場に混乱をもたらすことが無きよう、AHAガイドライン2005と新しい日本版救急蘇生ガイドラインとの間に差異がある部分については、日本版救急蘇生ガイドラインを優先させて指導にあたることとしています。これは、下記の勧告に立脚したものです。

http://www.qqzaidan.jp/qqsosei/plan.htm

PALS-ITOは、小児蘇生をめぐる科学的側面において、AHAガイドライン2005の公開前からAHAと緊密な連携をとり、当初より予想されたこの差異を最小限にするための努力をしてきました。PALS-ITOとAHAとの間においては、お互いの差異を理解しながらも、小児蘇生教育の普及をさらに協力的に進めることで理解しあっております。仔細にとらわれず、より受け入れやすく、実効性があるガイドラインとすることにより小児蘇生教育の普及をはかるべきとの方針が理解され、合意されています。

一方、日本版救急蘇生ガイドラインは、わが国の特性を十分に考慮したものであり、本邦の救急蘇生に関する医学的研究成果もとり入れられております。この策定過程においては、わが国の救急蘇生に関する様々な社会的・学問的課題も浮き彫りにされました。2010年を目途とした更なる心肺蘇生法の指針改訂にむけ、これから更に成長させ、日本・アジアからの蘇生科学の発信をしてゆくための、大きな科学的布石になる国家的財産です。

以上、どうぞ宜しく御理解のほど、お願い申し上げます。

2006年9月1日

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