JSPICC - 日本小児集中治療研究会

PALS 小児二次救命処置法 (AHA 認定) Pediatric Advanced Life Support

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小児二次救命処置法 PALS (2002年) Pediatric Advanced Life Support

国立成育医療センター救急診療科 清水直樹

 

IV. 本邦における PALS の問題点と課題

 PALS を本邦に導入するにあたって、いくつか議論になった案件があるが、そのひとつに教育方法がある。座学が好まれる日本の風潮のなかでこうした Interactive な教育方法が通用するかは不安材料であった。AHA 専門官との協議もふまえ、日本での PALS では北米よりも座学をやや増やして Skills Stations へスムースに移行できるように努めた。また Case Scenarios など非常に Interactive な部分では、その導入のためのセッションを追加して、少しでもリラックスして望めるように工夫した。現在のところはこうした努力が奏功してか、比較的良好にコースが修了しているが、今後全国展開したり、医師から他の職種に対象を広げる際にあらたな挑戦を受けるものと思われる。

 一方、日本人は試験が上手である。Writing Exam は多くの方々が良好な成績を得るが、Practical Evaluation に耐えうる技術をいかに短期間で習得して頂くかは大きな課題である。更には、実戦の現場に戻ってから、僅か2日間の PALS コース中に得られた知識と技術が実際に有効に使われるのか、といった疑問は本邦のみならず北米においても一つの課題であり、研究の対象にもなっている。長期的視点から PALS の臨床現場での効能を監視し、場合によっては教育方法やその評価法も考え直す必要が将来にはでてくることであろう。

 教材はまだ全て英語である。ことにビデオ教材が英語であることによる教育効果の低下が指摘されており、教材類の何らかの形での日本語化が重要であると考えている。これはまた、PALS の受講対象を看護師、救急救命士へ広げてゆくうえでもその受け入れをよくする上での要になる。

 
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